とある所に二人の人間がいた。
二人は暑い夏も、寒い冬も何度も乗り越えてともに過ごした。
二人にとって、世界はひとつだった。
ひとつの世界に存在していることが当然の様に思えていた。
二人が進む一本の道は、何処までも同じように歩むと信じていた。
何処まで続くかわからない長い階段も二人で登った。
いつ途切れるかわからない長い廊下も二人で進んだ。
長い階段を登り、長い廊下の途中に、一つの扉があった。
一人はその扉を開き中に入る。
もう一人はさらに先にあるもう一つの扉に入る。
二人で進んできた道のりはここで、一人ずつの道のりになった。
これまでにも、通過してきた景色はどんどん変わってきた。
揃いの服や靴や帽子もどんどん古くなってきた。
多かれ少なかれ、二人も変わってきた。
変わるスピードが違っただけ。
一人と一人は、別々の部屋に入った。
二人は、一人と一人になった。
それでも、一人と一人は後悔はしていない。
やり残した事なんかなかった。
一人が入った部屋の先は、荒れ狂う嵐だった。
一人が入った部屋の先は、真っ暗闇だった。
一人は風にかき消されそうになりながら。
一人は暗闇の中を手探りで。
一人と一人は、出口の扉を求めて彷徨い続けた。
それでも、後悔はなかった。
一人と一人は、引き返すわけにはいかなかった。
嵐の中、暗闇の中をただ進んだ。
一人はもう一人の事を考えた。
別の一人ももう一人のことを考えた。
二人で歩んでいた時の事を思った。
一人で歩んでいる今を辛いと感じた。
嵐の中、暗闇の中、出口に辿り着いた。
同じ出口の扉を掴む者がいた。
一人と一人は再び出会った。
お互いに知らない事が増えていた。
一人と一人は、もう一度二人になった。
一人では笑えなかった事が楽しかった。
一人ではかじかむ程の寒さに負けなかった。
二人はまた進み出した。
変わるスピードが違っても、見つけた出口は同じだった。
もうきっと、嵐にも暗闇にも負けない。
ものっそい勝手な解釈、笑。
おれにはこう聞こえたっていうイメージの話。
わざーと曖昧な言葉を使って、ふにゃっとしたイメージになるように書いたつもり。
共感よりも異論が欲しいな、笑。